【東京都中央区の実情に迫るQ&A ~どうしてデジタル化が進まない?~】

本記事は、多くの区民の方々や私が疑問に思う点に対し、行政側の回答を
できる限りわかりやすく、共有するために作成したものになります。

前提として、以下の点をご理解下さい。

・行政側としての現在地がどこで、どのような取り組みをしているか、なるべく客観的に記述しています。 本記事をもとに、批判や否定をすることは避けていただき、ぜひ解決策を皆様で考えるきっかけにしていただければと思います。
・正確性を期して作成していますが、人為的誤りがゼロになるわけではありません。予めご了承ください。
この記事が、区民の皆様と中央区の行政がより理解し合うきっかけになれば幸いです。
では、本題に入っていきましょう。今回は「デジタル化」について、情報システム課に話を伺いました。

Q:課題について

民間と比べて明らかに紙が多い、手続きに時間がかかる…というのはよくご意見として頂くことが多い。
私から見ても、行政をみて驚く点が多いのは事実である。そして、その点はご理解いただけていると思っている。
とはいえ、現実的には動けない理由もあることは、理解している。
デジタル化が遅れている認識があっても、なぜ行政がなかなか動けないのか。

A(情報システム課):

理由は大きく分けて、2つあると考えている。

1つはデジタルに精通している人員が、区役所全体で見て少ないこと。現在の中央区の職員数1,654名(一般行政職員で1,372名)の中で、デジタル推進係は5名。3年前にようやく「係」として部門がつくられたが、わずか1%にも満たない人員で、すべてのニーズに応えられる規模にはまだ達していない。加えて、このデジタル推進係も新卒事務職からの異動者が中心であり、専門的にDXを学んできたわけではない現実もある。
※補足:係とは、行政における最小単位の部署です。
本当は「課」レベルのサイズが必要だと認識しているが、できるところから始めて、実績を残していかなければ、議会も含めた理解は難しい。数少ない人員の中ではあるが、必死に取り組んでいる。

もう1つは、職員の感覚。どの企業でもそうだと思うが、ベテラン職員はどうしても後ろ向きになりがち。

若い職員は最初驚くが、だんだん慣れていってしまい、結果的に組織文化として変革の思考にならない。

さらにどの部署も忙しくこれを新たに導入したいと伝えても、時間が無くて難しい、と言われてしまうこともしばしばある。係長がすごくDXに乗り気で、一気にすすむことがあっても、その方が異動すると止まってしまう…というのも、現実として発生している。

Q:解決策について

この課題に対し、どのように組織として対処しているのか

A(情報システム課):

人員不足への対処方針
まず、トップ体制について。

平成31年にできた、デジタルの専門家である「情報政策監」(非常勤職員)が、令和4年から「副参事(デジタル推進・特命担当)」(常勤職員)になった。常勤職員、かつ副参事という権限がある人を設置できたことは意義がある。

次に、実務面について。
令和3年にDX推進に向け「中央区情報化基本方針」の改定し、具体的なアクションプランを設定。今までの基本方針にはこのような項目はなく、やることが明示されたのは成果と言える。

さらに令和7年には、東京都特別区採用において「ICT職」が新設される。この枠を活用し、より専門性の高い人材採用が行えるような仕組みづくりを検討している。

職員の感覚について。
やはり今できることは、研修から。令和4年からDX研修の実施を開始。特徴的なものは「DX研修」のように、具体的にDXのメリットを訴求できるような内容を入れた。過去は単なるセキュリティ・コンプライアンス研修が主だったことを考えると、大きな進化といえる。
今後も、全職員を対象に、デジタル化推進への理解・協力を求めていく。

上田かずきのワンポイント解説

一番お伝えしたい点は「行政側も課題を認識して、もがいている」ということ。
これはまず、区民の皆様にご理解を頂きたいと思います。決して何もしていないわけでは、ありません。

動きが重い理由として、専門性が高い人員が不足している点と、組織風土を挙げていただきました。これは自身の経営者経験を持っても、非常に納得がいく点です。

変えるために、議員として何ができるか。大きく、2つあると考えています。

まず、人員不足については、いきなり人員を倍増するだけの予算をねん出することはできません。但し外部のプロフェッショナル人材を期間雇用で独自に雇うことはできないのでしょうか。

例えば映画製作の業界では、必要な人材を撮影期間だけお願いする、ということが当たり前のように行われています。DX化の人材についても、同様にフリーランスを含めた、様々な形でご一緒することが可能な時代になっています。

伺ったところ、メンバーは全員、新卒入社で異動しながら勤めている方々でした。

専門的にDXを学んでいない方々だけで、区民が求めるレベルのDXを一気に推進するのは難しいと考えます。だからこそ、専門家に期間限定で1名入ってもらう。これだけで、大きく動きは変わるのではないでしょうか。

もう1つの組織風土、これは根深い問題で、すぐに変えることは難しいと思います。ただ、これは議員として、強く区民の総意を伝えていくべきだと思っています。

冷静に考えてみると、区民は「デジタル化の推進」を直接求めていません。不便を解消してほしいのです。

例えば、受付の長蛇の列や、紙と印鑑が必要な書類。この不便を解消してほしい、というのが願いです。

その手法として、DXが有効だから、色々と話に出るわけです。この流れを行政の皆様に、ご理解いただくための答弁を行っていきます。なぜなら、区民のために働くのが、私たち中央区所属の公務員の最大の使命であるからです。

議員は、いわば社外取締役の立場だと考えています。
区民のために、良い方向性をきちんと伝えて、実務者と一心同体となって動いていく。そのために、上田かずきも尽力していきます。

おかしいを、変えよう。あきらめを、やめよう、一緒に政治を前に、進めていきましょう。

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