令和6年度 各会計年度予算に対する態度表明全文

令和6年度の各会計予算に対する、日本維新の会の態度表明を行います。

最初に、本区の“過去、現在、未来”から鑑みた、予算に対する評価を申し上げます。中央区は、人口減少と高齢化が進む我が国において、極めて特殊な地域であると思います。東京23区で最も出生率が高く、ファミリー層の区外からの流入が続いています。10年間で在住外国人はほぼ倍増となり、コロナも落ち着いた中、一気にインバウンドを中心とした観光客も増大を続けています。そして、世界的な株高の影響を受け、大企業を中心とした活発な採用・投資活動が、まさにこの街で行なわれています。

その観点から見ると、全体的に令和6年度予算は、時流に即した、“今の”課題に合わせて、柔軟に対応を行う意思を示しているように見受けられます。具体的には、広報の質を高めるシティプロモーション、新しい地域の実情に合わせた晴海まつり、防災対策におけるスマホ充電器設置助成など、現実の課題を見据えた新規事業を評価致します。また、安易に拡大財政を許容せず、昨年対比10%減に抑えながらも、メリハリをつけた積極的予算を組んでいる点を、大変素晴らしいと感じております。予算は区の想い・考えを短期的目線から反映したものだとするならば、本年度予算を高く評価しております。

一方、過去を引きずった、しがらみの中で辞められないのであろう事業計画、というのが残っていることが目につきました。“中央区は企業も多く、人口も増えているから安泰だろう”とよく区民から勘違いされがちですが、そうではないことが私自身、議員になり大変よくわかりました。人も、金も、有限であることは民間企業と変わらない。だからこそ、不断の見直しをすることが大変重要だと思います。この点について、もう少し踏み込んだ形でのリストラクチャリング、すなわち事業の再編成を要望します。もちろん、行政側からはなかなか“使命を終えたので、継続不要”と判断することは難しいかもしれません。だからこそ、質疑でも取り上げたように広聴機能の強化を行うと共に、議員の声を活かしながら、賢く予算を組み、活き金にしていくご尽力を、お願いしたいと思います。

さらに将来を見据えた行政運営について、基本計画に記載されております“経営視点を持った行政”という観点を、より強化をいただきたいと思います。前述の通り、本区はこの10年でさらに様変わりしていくでしょう。その中でどの地域がどのように開発され、人口がどのように変化していくのかは、おおよその予測はたっているわけです。しかし、それらを踏まえた未来志向の予算はあまりなく、今の課題解決型予算となっています。例えば、中央区は日本屈指の企業集積地でありながら、その価値を伸ばす取り組みがなされていません。区長自ら「ビジネスチャンスを得やすい、創業に適した環境が揃った町」ということを理解しながら、新たなテクノロジー系企業への支援、IPOに向けた包括的な取り組み等は、全くと言ってよいほどなされていない現実があります。基本計画に基づいて予算は策定される原則かと思いますが、本年度予算を見る限り“今、痛みがない”ことに対する手当は十分でないと感じております。このように、将来・未来にわたって発生する課題を予測し、5年後・10年後の中央区を見据えた予算組みができているか、という観点で申し上げると、それは不十分であるように感じざるを得ません。未来の数値予測を基にした、予算の組み立て、そして“本区が日本全体の中で、どのような役割を果たすべきか”という視点も入れ込んだ未来志向の予算策定を求めてまいります。

続いて、中央区政は誰のために行われるべきか、という観点での評価です。

一つの地方自治体としてみれば、住民は最も基本的で重要な存在であることに論はありません。ただ、中央区がこれだけの成長を進めてこれたのは、多くの在勤者、そして日本中・世界中からこの街を目的地として来てくれている、多くの観光客の活力が寄与していることも、厳然たる事実だと思います。

だからこそ、彼らに対する取り組みにも目を向けていく必要があります。質疑を伺っていても、ワクワクしながら街を訪れる観光客に対する包括的な支援体制の整備、平日多くの時間を過ごす在勤者の声を区政に反映する仕組み等については、区長所信表明でも示されず、予算にも組みこまれていません。ぜひ、私たちが考えなければならない相手、すなわち顧客は誰か、もう少し拡張した目線を行政側が持つことを期待したいと思います。

3つ目に、予算を活かす組織について、意見表明を致します。

本特別委員会の冒頭で申し上げた通り、予算を活かすのは人材であり、組織であります。その観点から見ると、区の組織については、一度抜本的見直しの時期に来ているのではないかと思っております。事実、お伺いした多くの課題は、組織横断的な内容にならざるを得ませんでした。これは、現存の組織体系では解決しづらい、取りこぼしている課題や視点があるからだと思います。一人ひとりの努力には心から敬意を表しますが、組織全体の動き方で見れば、もっと改善できる点は多々あるように感じます。今後に向けて、行政のカタチを、よりフレキシブルな仕組みに変化させていく。例えば、横ぐしを刺す形の、特定課題に対応する時限型組織、すなわちプロジェクト型人材活用の積極的な推進を要望いたします。

もちろん、法律面をはじめ、様々な制約があることや、議論の積み重ねの結果、今に至っていることは理解していますが、「基礎自治体で縛りがあるから、仕方ない」という思考停止をせず、どのような創意工夫ができるのかを、議会も交えて、ぜひ積極的に議論していければと思います。役所ならではの“前例踏襲・横並び文化”に縛られすぎず、にアイデアをカタチにできる文化を醸成することが、やりがいを増やし、管理職層になりたいと思う若手を増やすきっかけになると確信しています。

最後に一言、申し上げます。私たちは、様々な障壁がある事実を直視しながらも、夢を描き、語る立場にあると考えます。現実的に、一人残らず、一気に様々な要望に応えることは不可能でしょう。ですが、それでも一人でも多くの人を幸せにするため、多角的な観点から最適解を探し続けることは、この場にいる全員の責務だと思っております。すなわち、“最大公約数”の人たちが幸せになるよう、限られた資金・人材を優先的に配置し、活用していくべきです。

そして、優先すべき“声”が、住んでいる期間が長い・政治との距離が近い、すなわち“大きい声”ではなく、人口動態からみた、客観的なデータに基づく“声なき声”も拾いながら、総合的に検討・判断されていくことを望みます。確かに、若い人や新規流入者は、行政にも政治にも興味関心があまりないことは、事実かもしれません。しかし、だからと言って優先度を下げるのではなく、彼らの見えづらい痛みをきちんと聴く力を高め、一人でも多くの区民を幸せにする施策を、引き続き要望してまいります。

重複になりますが、令和6年度予算はきちんと区の現状を鑑み、それに対応した予算編成になっていると評価しております。作成に関与された皆様のご努力に改めて、敬意を表します。そのうえで、日本維新の会として、次年度予算については、未来志向・経営視点を強化した予算案の作成に努めて頂くとともに、より柔軟な組織運営について、検討頂きますよう、何卒お願い申し上げます。

それぞれ提案いたしました各種要望を踏まえた上で、以降の区の運営に取り入れて頂くことを心からお願いしつつ、本特別委員会に付託されました令和6年度各会計予算案に日本維新の会は賛成致します。

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