本日は決算特別委員会での上田かずきの統括質疑(チャレンジする人を育て、育む街について)お伝えします。
上田かずきの前提:失われた30年の先を見据えた区政運営
副区長の答弁で、矢田前区長の原体験と、政治家としての信念のお話を伺い、大変学ばせていただきました。同時に、僕自身の原体験を振り返るきっかけになりました。この場をお借りして、少しだけお話しさせて下さい。
僕は「失われた30年」と呼ばれることになる平成という時代を学生時代に過ごしました、物心ついた時から好景気を知らず、マックのハンバーガー59円、吉野屋の牛丼280円というデフレ・低成長時代を生きてきました。そして、産まれたときになかった消費税がどんどん上がり、年金がもらえないと煽り立てられる社会で「社会はあなたを守ってくれない、だから自身で生き残ることが大事だ」と教わってきました。その結果、すごく優秀なのに、一度転げ落ちたら戻れない恐怖からリスクを取らず、自分を守ることに汲々となっている同世代、そしてサピックスでの教え子を見てきました。それだけ、未来が怖いんです。チャレンジをしたくても、恐れが勝ってしまうんです。でも、チャレンジを全くしない人生で幸せだった、という人はいません。本当は誰だって閉じこもりたくない、可能性に挑戦したい生き物なんです。
でも、一番根っこにある心が悲観的になっている、この現状を変えられなければ、いくらお金を配っても少子化対策も、スタートアップ政策も成功しません。この状況を打破して、前向きな、チャレンジする人を増やしたい、そしてチャレンジする人を応援する社会を生み出したい。そう思って、私は政治の世界にきました。
また、この話は単に起業家に留まりません。私の父は定年まで銀行に勤め、東京営業部長まで登りつめました。普通に考えたら天下りして関連会社の役員を行うのが通例です。しかし、父は新たなチャレンジとして全く違う、保育の仕事を選びました。おそらく、自分が子育てを満足にする時間がなかった、できなかったという後悔があるのでしょう。現在は週5、午前中だけの勤務ではありますが、非常に満足している話を聞きます。やはり年齢関係なく、チャレンジは人をイキイキさせるのだと感じております。
① 創業支援について
上田の課題:チャレンジする人を支える手法は?
そこで伺います。本委員会の質疑で区長から「ライフサイエンス等、今までになかった産業を作り、新しい経済社会を実現したい」という想いを伺いました。これらの“新しい産業を起こすんだ”、という気概をもつ起業家をはじめ、様々なチャレンジしたいと思う人たちを、中央区はどうやって街として支えていけるのか、見解を伺います。
区長見解:スタートアップ支援を強化する
チャレンジの青年を育成しなければいけない。そしてその中で、スタートアップ支援をどうするか、という問いだと受け取った。この観点から答弁する。
まず、中央区の内外の状況を見ていると、京橋・銀座・月島、いずれも動きがある。例えば、日本橋においても、スタートアップ1000〜2000社、未来のライフサイエンス。宇宙といった企業群が形成されている。これはまさに、民間の中での胎動といえる。行政から見えづらいが、高層ビルがどんどん再開発で立ち並ぶ中で、まさに国家的使命をもって、経済を前に進めていこうと、街は生まれ変わろうとしている。
さて、その中で行政に何ができるのだろうか、ということを思案している。現在のビジネスマッチングをはじめ、場づくりを通して、まずはスタートアップ支援を行っていきたいと思っている。そして、志を持った人たち、若者たちの気持ちを、サポートできる仕組みを考えるため、関係部署と連携していきたいと思う。
② IPO(上場)支援について
上田の課題:世界を牽引する産業創出の起点を目指すべきだと思うがどうか。
中央区の特徴を活かし、ぜひIPO(上場)支援に舵を切ってほしい。IPOは世界中からお金で応援されることだ。なぜGAFAが日本すべての上場企業より時価総額があるのか。それは、それだけ多くの応援を得られているからだ。それがお金として、日本をはじめ世界中から集まり、それが再投資されてあれだけの産業になっている。中央区こそ、この循環の起点となれるはずだ。そのお考えはどうか。
副区長の見解:23区全体で検討しなければいけない
産業・企業の話について、様々アイデアをいただきありがたい。だが、東京都は産業労働局を中心に、23区においてどういう取り組みをしていくか、ある程度広域的に検討を進めており、中央区だけが動くことは難しい。23区も長い歴史の中で、それぞれの役割を帯びているからだ。
その中で、中央区としては“いかに中央区内で長く営んでいる人を支援するか”ということが大事だと思っている。そもそも江戸からできた街であり、商業の中には様々なお店がある。そのお店は区の支援があったからここまで生き延びたのではなく、事業の皆さんのご努力の結果だと考えている。
上田の想い:ビジネス環境を創造し、日本経済を牽引する街を目指したい
区長・副区長と連続的に対話し、見えてきたもの。それは中央区独自の“創業支援・IPO支援への道筋”というところです。やはり中央区は、他区にない“古き良きもの”をたくさん持っていて、それは当然宝となるものです。ただ、7万人都市・地場産業中心の価値観であったものが、この20万人都市・毎年1万人以上の流入があり、外国人定住者も23区トップと大きく変貌を遂げてきた中で、いささか政策が追い付いていない、という現実です。
古き良きを見捨てることなく、新しい起業も区独自でしっかり支援し、どんどん羽ばたける人を増やしていく。そのためには東京都との連携、さらには近隣区との連携を密にしながら“古き良き企業がさらに続くための”事業発展に向けた支援のスキームを生み出す。そして、そのノウハウを全国に広げていくことが、中央区の大きな役割の1つになるだろう、と考えています。
改めて、中央区は本当に恵まれた街であると思います。区長は令和6年予算委員会の僕との質疑の中でも「中央区は先端性を持って、経済を牽引する街になる」とも仰っていました。この可能性を追求できる街なんて、日本の中でそうあるものではありません。まさに街として、私たちはチャレンジをするべきだと思うんです。私たちが日本成長の先駆けとして牽引ができれば、区民にとっても雇用が増え、税収も伸びて福祉が充実させることができますし、通勤者の増加は商店街の活性化にも繋がります。さらに集まる人々が、街全体の魅力をさらに高めてくれると思うんです。
だからこそ、中央区は「リスクがあっても、チャレンジする人を応援する街」になってほしいと考えています。リスクなき所に、リターンはありません。起業家という生き方がすべてではありませんが、夢をもって事業を志し、社会課題の解決に挑むことは、僕は本当に素晴らしい生き方だと思っています。彼らが中央区を住居として、また登記地として選んでもらえるような街づくり、という観点も、今後ぜひ取り入れて頂くことを要望します。
失われた30年を生きた私たちが、次の世代に再び同じ困難を生み出してはならない。その強い意志をもつとともに、中央区は、日本の中央として、文化的にも経済的にも日本のリーディングシティであり続けるために、皆さまと知恵を振り絞りながら、未来志向の対話を続けていきたいと思います。
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