本日は昨日に引き続き、決算特別委員会での上田かずきの統括質疑(待機児童対策・小1の壁)をお伝えします。
上田の前提:
中央区の子育て政策最大の課題は、区長所信表明でも仰っていた通り「小1の壁」であると理解します。プレディプラスはその効果的な施策だと思いますが、それでも数年間はまだまだひっ迫が続くと思われます。そこで、3点ご提案します。
①保育園の活用について
上田の課題:保育園の空き部屋の活用はできないか
10/8の日経新聞で、こども家庭庁が25年度予算の概算要求で、保育の多機能化への支援補助に踏み込みました。中央区でもこの動向を注視しながら、保育園の5歳児室など、比較的空きがある部屋を活用することは、検討できないでしょうか。
中央区の見解:5歳児室などを0~2歳児室に転用するなど、柔軟な施設運用を継続する
現時点において、場所に空きがあるからと言って学童などに保育施設を転用することは考えにくいと思う。なぜなら、保育施設は年度途中から入れる、というケースも多々あり、中央区においてもニーズが年々上昇している。そのため、一程度の空き枠を用意することは必要だと思っている。平成27年から取り組んでいる、一部エリア(主に湾岸エリア)における、5歳児室などをひっ迫する0~2歳児室として転用する、という試みは続けていきたい。
上田の想い:待機児童ゼロ達成後も、保育施設に一定の余裕を持たせてほしい
本件については、中央区の考えも大変理解でき、同意しました。表面上、待機児童ゼロを連続で達成しているとはいえ「入れたい保育園に入れなかった」であったり「途中で教育方針や保育士との相性がイマイチで、転園を考えたい」という保護者は、一定数いると思います。そのためにも、ある程度の“余白”を保育施設側にもっていることは、保護者ニーズを考えると必要であると考えています。
②稼働率が低い施設の転用について
上田の課題:区有施設を有効活用し、学童クラブの収容環境改善を図るべき
具体的にはハイテクセンターにおける早稲田大学エクステンションセンター撤退後の空き室の活用や、会議室に比較的空きが出やすい、産業会館や豊海・浜町区民館、ブーケ21等の施設を、民間学童の誘致や、プレディのような放課後対策事業に供するべきではないかと考えます。今の利用可能人数の調整後における学童クラブは、明らかに過剰収容で子供たちに最適な環境とは思えません。その中で、包括的に施設の利活用を見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
中央区の見解:既存施設の有効活用や運用改善により、学童クラブの収容環境改善に努めたい
稼働率の低い施設とはいえ、中央区の公共施設で、他の利用者への影響も考慮しないといけない。また、稼働率が低いから簡単にやめることはできない。また、プレディの活動が安全確保をしながらできるのか、検討しなければならないと思う。とはいえ、場所の狭隘化は課題になっていることはご指摘のとおりであり、協議しながら学校の空き教室を最大限利活用するほか、現在「曜日ごと」に部屋の利用を決めている部分を「1時間単位」で調整できないか、検討しているところだ。今後も安全な放課後の居場所づくりに尽力していく。また、民間学童クラブについては安全性の懸念があることから、特段考えていない。
上田の想い:既存施設の一部を転用し、多様な選択肢を提供することで、小1の壁の解消に努めるべき
これは少し認識がずれてしまっていて、僕は“施設まるごとを改修してしまおう”と言っているわけではありません。仮に稼働率が30%しかない施設があれば、一部の部屋を学童クラブにして、残りを引き続き、同じ目的の施設として使おうと考えています。それであれば、既存利用者が困ることもなく、小1の壁を緩和することはできるからです。また、民間誘致に対しては否定的な意見が示されましたが“放課後の習い事”というのは実に様々あり、その選択肢を中央区内に多数用意することが大事だと思っています。
③時限的な民間施設利用の促進について
上田の課題:大阪市のように民間事業者活用による学童の待機児童対策を検討すべき
学研教育総合研究所の2023年10月調査によると、全国的にみても、小1で習い事に通わせている割合は70%にも達することがわかっています。教育への想いが強い、中央区ではなおさらでしょう。これの良し悪しについては置いておきますが、事実として待機児童がいる中、様々な民間事業者を活用いただくことは、プレディ等の混雑緩和に繋がると考えます。大阪市は、市内在住小学5年生~中学3年生の学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室等の学校外教育にかかる費用を月額1万円助成するなど、民間事業者の活用を後押ししている。中央区において喫緊の課題である、待機児童が解消されるまで、小1~3等の的を絞って、待機児童対策として“民間事業者の利用促進”を促す取り組みを検討できないか、区の見解を伺います。
中央区の見解:区有施設を有効活用し、子どもの健全育成を図りたい
中央区としては、区有施設の中で、子供の健全育成を図っていきたいと思っている。なお、企画部に今年度から施設整備課を迎い入れたことから、今後、本格的に公共施設マネージメント、すなわち全庁的な公共施設の利活用の在り方について、検討することを進めていきたい。
上田の想い:財政的余裕を活用し、民間学童活用による小1の待機児童対策を導入すべき
この件については大阪市ですでに実施できている施策ですから、すぐに取り入れることができます。ばらまき、と批判されるかもしれませんが、中央区で一番重たい、そしておそらく最後の課題が、小1の居場所がない、ということです。これを解消するためにあらゆる手段を検討、活用しなくては、中央区のように土地がない・建物がない場所では、政策的に打ち手がなくなってしまいます。令和5年は予想よりも250億以上の収入上振れがあり、財政的にも健全性を維持できており、貯金は900億超と過去最多となっています。お金で解決できる可能性があれば、時限的であれ、検討を進めるべきだと思っています。