先週開催された決算特別委員会で上田かずきは総括質疑を行いました。
本日はDX・ICT関連の質疑をお伝えします。
Ⅰ 庁内DXによる生産性向上施策について
上田の前提:DXによる業務効率化を進め、職員不足に対応できる体制を構築する必要がある
まず、全庁的に活用できる、庁内DXによる生産性向上施策についてです。現在、23区特別職職員の採用倍率はおよそ4.3倍であり、平成26年の7.7倍と比べると大幅に低下しております。今後も、民間企業の旺盛な採用需要がある中で職員を増やし続けることは困難であり“人が少なくても回る役所”を目指していく必要があると考えます。そこで数点、お伺いします。
①生成AIを活用した議事録活用について
上田の課題:読み手の負担を軽減するための取り組みをどのようにしているか
すでに庁内ではAI議事録の活用が進んできていると伺っておりますが、議事録は“取る”ことだけが重要ではなく“読み手の負荷を減らす”ことも重要です。近年は生成AIの進化により、即時にAIが要約してくれることも可能になりました。このような“読み手の負荷を減らす”仕掛けをどのように取り組んでいるのか、伺います。
中央区の見解:生成AIの活用を慎重に検討し、議事録作成の効率化を目指す
現在、中央区としてAIの議事録サービスを活用している。今後も様々な形で生成AIの活用に対する調査検討を進めている。要約についても、サンプルを使ったテストや、サービス事業者との交渉を行っている。
一方、現在のレベルでは中央区が要望するレベルまで至っておらず、結局人の目が入らないと、正しい文字化に繋がらないという実態もあり、今後もニーズに応じた事業者を確認しながら、検討を進めていく。
また、そもそも生成AIがどういった働きをすることで、私たちの生産性向上に寄与していくのか、まだ不透明なところもある。他区ではすでに活用している事例も承知しているが、ルールがキチンと策定されていない等、課題があることも事実だ。公の仕事に携わる立場の中で使えるものはなにか、考えていく。(企画部長追加答弁)
上田の想い:AI技術の積極的な導入により、業務効率化と品質向上を図るべき
8月より、Nottaというサービス事業者のアンバサダー、要は宣伝大使になったのですが、この1年を見ても信じられないぐらいの成長スピードで、AIのできることが劇的に増えていることを感じています。優れた技術は無駄を省き、品質を高めます。確かに“正確性を担保する部分”については慎重になるべきですが、ざっと理解すればよいもの出会ったり、内容にクリティカルな課題が出ない部分については、積極的な利活用を検討するべきです。ぜひ画像生成や庁内書類の作成に試験的であっても導入することを要望しました。
②議会における議事録公開に要する日数について
上田の課題:議事録の公開を迅速化し、情報公開の充実を図る必要がある
中央区は勤労世帯が多く、平日日中に傍聴することは難しいなか、議事録は貴重な情報公開の仕組みです。しかし、議事録公開までに要する日数はいずれも100日以上、最長だと154日、およそ半年にもなります。国会では10日程度で正式な議事録が出ているほか、都議会も30~50日で公開しており、大きく遅れていると言わざるを得ません。本件について、どのように改善していくのか、議会局の考えを伺います。
↓中央区HPから
中央区の見解:議事録作成の効率化を図り、公開までの時間短縮を目指す
上田委員から「大きく遅れている」という、大変厳しいお言葉をいただいたことは重く受け止める。少しでも早く公開をしたい、とは思っているが、様々な手直しを複数の職員が繰り返しやっている、という現実もある。人手を少しでも少なくするため、生成AIをトライしたこともあるが、正直言って品質が求めているものに達していなかった。今後も時間短縮に向け、研究を進めていく。
上田の想い:速記版などによる議事録の早期公開を検討すべき
また、議事録公開については、AIを活用する前から国会・都議会では、中央区議会の半分以下の時間で公開がされていました。ので、AIが使えないから遅い、というの理由にならないと考えます。区民に直結する大事な情報ですから、せめて“速記版”という形でもよいので、早めの情報公開をすべきだと提言しました。
Ⅱ 職員の働き方改革について
①情報管理の効率化について
上田の課題:引継書・マニュアルの仕組み・異動時の引継ぎはどのように行っているのか
職員の方々は民間と異なり、数年ごとに“まったく違う課”に異動することが多々あると思います。その中で、引継書・マニュアルの仕組み・異動時の引継ぎはどのように行っているのか、教えて頂けますでしょうか。
中央区の見解:部署により方法が異なる
職場によって、引き継ぎも様々なパターンがある。窓口なら基本的なマニュアルが整っているが、そうではない部署もある。結果的に、人づてで、時間外に引き継ぎをする場合もある。また、異動前に引継ぎを遺漏なきように行うことが前提だが、終わらないこともあり、異動してからも、時間外に引き継ぎをしている現状がある。とはいえ、職場によって異なるのは仕方がなく、現時点の運用を続けている。
上田の想い:情報の一元管理システムの導入と人事配置ルールの見直しを検討すべき
多くの民間企業では情報を俗人的・個別にせず、電子カルテのようなイメージで一元管理をすることが当たり前になっています。これを中央区でも取り入れることを検討いただければ幸いです。行政課題は年々、横断的な知見が必要になる答弁は今回の委員会でも出てきております。それらの業務を一人一人の意欲と能力に頼るのではなく、仕組みでサポートすることをお願いしたいと要望しました。
また、答弁にも出ている通り“引継ぎ”は大きな手間がかかり、時間外労働の温床にもなりかねません。どの程度の異動が適切なのか、といった人事配置そのものについて、一定のルールや考え方を規定することも望ましいと考えます。
②リモート勤務について
上田の課題:どのようにリモート勤務を増やしていくのか
フレックス勤務についてはだいぶん定着していると伺いましたが、資料を見る限りかなり低い実態があります。今後、どのようにリモート勤務を増やしていくのか、職員課の考えをお聞かせください。
中央区の見解:システム整備や公平な運用を図りながら、テレワークを推進する必要がある
令和4年からPCを使う方について、全職員がルール上、テレワークができるようになった。現在は試行運用中ではあるが、推進ハンドブックなども作成し、周知に取り組んでいるところである。令和6年1月には文書管理システムが動き、令和7年には承認なども電子化されるため、これらを活用したテレワークの推進には期待はしているところだ。一方、窓口を持つ部署だとなかなか難しいほか、現在中央区では電話が2~3名に1台、といった運用になっている。他の事例では個別に携帯電話を支給し、内線を取れるようにする等工夫しているところもあり、今後に向けた検討課題だと思っている。
なお、不公平感がない仕組み、という観点も重要だ。テレワークは「遠距離で通われている方」にメリットがある制度であり、その観点も考慮していきたい。
上田の想い:リモートワークを推進することで、職員の働き方改革と子育て支援を両立させることができる
最後にあります「誰のための制度か」という観点について、僕と認識に違いがあったため、この点は反論しました。具体的には、リモートワークは狭隘化の対策にも繋がり、全職員の職場環境以前にも繋がります。さらに、保育園等に送り迎えする立場としてすぐに迎えに行けることは大変助かる、という方は多いでしょう。少し余談ですが、同年代の子育て世帯の声を聴くと、2人目を躊躇う最大の理由は「ワンオペが辛い」からです。9割弱が中央区外からの通勤である中央区として、少しでも移動時間を減らし、ご家庭で子供といる時間を増やす取り組みとしても期待しております。