決算特別委員会での上田かずきの質疑(福祉保健)をお伝えします。
①ほかの子育て世帯に対する経済的支援策について
上田の課題:ほかの子育て世帯に対する経済的支援策とは?
決算資料の中にある”子育て家庭生活支援事業”の中に、「ほかの子育て世帯に対する経済的支援策も含めて整理していく必要がある」という記載がある。この内容について具体的に示してほしい。
中央区の見解:国や東京都の動向を踏まえ、自立支援を軸とした子育て支援策の見直しを行う
現在、様々な子育て支援策が矢継ぎ早に国や東京都から出ており、中央区の想定を超えている。その中で、中央区の事業と重複していたり、中央区の考えに違うものが出てきているため、一度整理が必要だと考えている。
今後は、支援するべきところを見定めて、自立できることを軸にしながら、子育て支援策の全体像を見直していきたい。
上田の想い:子育て支援策全体を整理し、必要な支援に予算を集中投下すべき
子育て支援は、2017年に「保育園落ちた日本しね」というTwitterが話題になってから、この10年間で大きく拡充・改善が図られてきたと感じています。そして、中央区に住んでいる人たちの多くは単なる現金給付(要はバラマキ)よりも、公園の整備や歩道の拡幅であったり、デジタル化の推進といった、環境整備を求めている方が多いです。私としては選挙公約にも示した「スタートラインと言える出産に対し、中央区民が50万以上、実費がかかることはおかしい」という点については、強く求独自補助を求めていきます。他方、子育て全般に対する予算については、一度整理して、特に課題が強い「小1の壁の解決」などに特化していただこうと考えています。
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②低所得者世帯に対する学習支援事業について
上田の課題:学習支援事業において、民間塾との連携による支援の充実を検討すべき
低所得者世帯に対し、学習支援を行う「学習支援事業」について、現在はNPOによる”生活支援”が基本となっており、学習支援という観点まで行き届いていないように感じる。今後、わくわく21(不登校対策事業)のように、民間の塾サービス等と連携することはできないのか?
中央区の見解:NPOによるボランティアを重視したい
生活支援事業では、居場所の確保と生活習慣の形成に加え、学習支援の位置付けも当然意識しているところだ。そして、本事業については、NPOのボランティアで行っていることが大事だと思っている。貧しい家庭だったから支援したい、という人や、豊かだからこそ還元したい、といった想いが大事であると考えている。なお、本気でやりたい人には「受験生チャレンジ支援貸付事業」があるので、ここで塾などに行っていただければと思っている。
上田の想い:支援貸付事業の拡充やオンライン学習システムの導入により、学習支援を強化すべき
ここがまさに盲点なんですよ!と声を大にしてお伝えした内容になります。
そもそも、この「受験生チャレンジ支援貸付事業」は、進学すれば返還免除となり、実質的に給付として機能する点はよい制度です。しかし、問題はこの事業における”塾代助成”は20万円が上限値となっており、とてもじゃないが受験生にとっては足りない金額と言えます。だからこそ、今後、ここに区の独自補助を載せるか、スタディサプリのようなオンライン学習システムを、NPO事業者に貸与するなどして、貧困の連鎖を防ぐための取り組みを行うべきだろうと思っています。そもそも中央区は、高校生支援まで一貫して行っている珍しい区であり、NPOからも感謝されています。だからこそ、学習支援の強化を行うことで、包括的な支援体制の構築に繋げて頂きたいと考えます。
③プレディについて
上田の課題:プレディの利用者満足度調査を実施し、今後の待機児童対策に活かすべき
子どもの居場所づくり推進事業として行っている「プレディ」について質問する。現在、学童クラブにおける待機児童数は令和6年度、229人と横ばいであり、なかなか改善の傾向がみられていない。その中でプレディは代替場所として活用されており、すでに登録者が3040人にもなった。ただし、プレディについてはその品質について、課題があるという声が中央区民から寄せられている。今後に向け、プレディの満足度調査やアンケートを実施するべきだと思うがどうか。また、今後の推計値はどうなっているのか。
中央区の見解:プレディの充実化を図り、増加する児童の受け入れ態勢の強化を目指す
現在、プレディは満足度調査を行っておらず、児童とのコミュニケーションの中でヒアリングしている。また、プレディの将来推計は、こども計画では令和11年、4134名まで増える予定だ。今後も学校の空き教室を利用しながら、充実した活動ができるように努めたい。
上田の想いプレディの利用者満足度調査を実施し、保護者の意見も踏まえた改善を図るべき
プレディの環境に課題を持っているのは、子どもではなく保護者のケースがほとんどです。そのため、まずは機会を捉えてアンケートを行うべきだと強く要望します。子どもに聞くだけでは、保護者の目線が欠落してしまうためです。また、プレディは毎日来なくていいからこそ、人数も多く、1人ひとりに目が行き届きづらい…という欠点もあります。子どもの声だけでは不十分です。
もう1つの論点についても、プラス1000人もの子供たちがプレディに通う、というのは、現在のひっ迫状況からみても現実的とは言えません。場所については福祉保険部と教育委員会の連携だけでは厳しい部分もあると思っており、本件は総括質疑でも扱う予定です。
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④ファミリーサポート事業について
上田の課題:利用件数減少対策として、マッチング率向上のための取り組みを強化する必要がある
子育て支援策の1つである「ファミリーサポート事業」について伺う。現在、ファミリーサポート事業は令和1年の4413件から令和5年は1779件となっており、低迷が続いている状況だ。このマッチングできない課題をどのように解決していくのか。
中央区の見解:会員不足解消のため、サイトリニューアルと会員への働きかけ強化を行う
ファミリーサポート事業の提供会員数不足は理解している。そのため、サイトのリニューアルをするほか、稼働率が悪くなっている既存提供会員に対する働きかけを強化する予定である。
上田の想い:会員確保のため、謝礼単価の引き上げを検討すべき
私は「善意の搾取」を行政が推進してはいけないと思っています。このファミリーサポート事業もその1つではないでしょうか。そもそも、ファミリーサポートは”有償ボランティア”という位置づけになっており、2001年に1時間800円と謝礼単価が定められてから、変更が為されてきませんでした。当時は東京の最低時給が708円です。それが今では、1163円まで上がっているわけです。明らかに最低時給以下の金額で人を集めようと思っても、来ないのは必然ではないでしょうか。このような明らかにおかしい状況が改善されなければ、プロモーションを増やしたり、既存会員への声掛けをしても高い効果をのぞめないと感じており、まずは時給調整を求めていきます。