上田の課題:スタートアップの誘致・育成施策について
まちに活気を生み出すというところにおいては、若い起業家の存在というのも必要不可欠と考えます。私自身もベンチャー起業家としての経験で見ると、本区は経済の中心地を持ちながら、スタートアップと聞くと、渋谷区や港区ということで、知り合いの経営者のほとんどは、これらの区に集中しており、具体的に中央区としての施策というのも少ないというふうに感じています。創業地というのは、起業家個人の思い入れが強くなる場所でして、成長すると、そこが最終的に税収につながるということもあるので、ぜひ取組を強化していただきたいと思います。すでに各区が取組を強化しており、例えば世田谷区は、令和5年に三軒茶屋の徒歩1分のところに、世田谷区が実施主体となってネイバースクールSETAGAYAというインキュベーション施設を立ち上げ、5か月間の総合的なカリキュラムと融資のセットパッケージを区として始めています。
中央区としてベンチャースタートアップの誘致、育成に対して、現在、どのようなことを行っており、今後、行っていきたいと考えているのか教えてください。
中央区の見解:スタートアップ誘致に積極的
中央区につきましては、あまり積極的な取組がというような意見だというふうに受け止めたところである。起業者向けの起業家塾という、昨年度まで年1回だったものを本年度は年2回開催したり、出張経営相談、それ以外の融資等、取組において展開はしているところである。
スタートアップの捉え方についても、いわゆる本当に創業というところで捉えていくものなのか、それとも、極論を言えばGAFAを代表するような、そうしたものを呼び込んでいこうよというようなところまでいくのか。起業、若手の方、これからの新しい事業者の方が区内に増えていくということについては、当然、区のにぎわい活性化につながると思っている。今後改めて、他区の事例も参考にしていきながら今後の区の産業振興にしっかりと努めたいと考えている。(田部井商工観光課長)
区としては、中央区、日本橋は商業の発祥の地、それから兜町は金融の拠点。いわゆる消費活動は非常に多様性を帯びている。その中で今のスタートアップとか新しい企業、若手経営者、こういう人たちにますます入っていただくようなことについて、区としても、これから大いに考えていきたい。(山本区長)
上田の想い:大企業との交流を促進すべき
私が考えるスタートアップというのは、我々のまちとして、日本を牽引するような会社、そして企業体を生み出せるという状態が最終的には望ましいと思っています。
起業家塾というのは、確かに一つの手段でしかありません。塾から起業家は生まれづらく、本当にスタートアップが必要とするのは「交流できる場所」から生まれる人脈です。
具体的には、大企業とのマッチングや起業家同士の交流が必要です。ただし、10人の社員の社長さんと100人を抱えている社長さんで目線が全く違います。そのため、ある程度粒感をそろえた中でのマッチングイベント等を繰り広げると、非常にスタートの速度が上がっていくと考えています。いきなりGAFAを狙うのは区の行政としては難しいですが、だからといって小規模事業者だけにフォーカスすべきでもありません。せっかく中央区には大企業という資源がありますから、それら活かした施策を、私の経験と、現役経営者の目線を生かして考えていきたいと思います。
東京都中央区議会 地域活性化対策特別委員会 令和5年6月13日